2024-05-24

第14話 攻めすぎた新企画「ドライブツアー」は売れるのか?

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前回、初挑戦のクラウドファンディングが不発に終わった話をさせて頂きましたが、少しでも支援をしてもらえるようにと「普段は実施していない特別ツアー」のリターンも用意していました。クラファンの担当者より「新しいツアーを実験的に販売するのも良い」とのアドバイスを受けたので、これはチャンス!とばかりに、かねてより温めていたとあるぶっとび企画(空港だけに)に息を吹き込むことにしたのです。その名も「空港一周ドライブ&ガイドツアー “外から”成田空港見学ツアー」。なんと、お客様にマイカー持ち込みで参加して頂こうという企画です。


当該ツアーのアイキャッチ画像。マイカー持ち込みが最大のネックとなる企画である。


以前こちらのコラムでも触れたと思いますが、ミキキートスはいわゆる旅行業者ではない為、交通機関の手配をすることが出来ません。例えば、観光バスを貸し切るバスツアーを主催できないのはもちろんのこと、電車やタクシーなどを利用するツアーは原則実施できません。ただ、交通機関の利用を伴ったツアーをまったく主催できないのかというと、実はそうではなく例外があります。旅行業法の定めるところの交通機関の手配というのは、利用者に代わって乗り物の予約をしたり、運賃をツアー代金に含めて収受し、お客様に代わってきっぷを買うような行為をさします。


つまり、予約をしないで乗れる電車やバスを利用し、運賃はお客様自身が乗る時に各々払うのであれば、このハードルはクリアすることができます。ただ、ツアー代金とは別に、現地で交通費を支払って頂く必要があるため、誤解なく伝える為にその表記をどうするか手を焼きます。  


同じ理屈からですが、マイカーについてもお客様ご自身の持ち物ですし、仮にカーシェアやレンタカーであっても、お客様自身が借りたものであれば、こちらで手配をしたわけではないので問題ないということになります。ただし、こちらが運転する車にお客様を乗せる行為は、ちょっと前に空港界隈で問題となった白タク行為になってしまう為、あくまでお客様自身に運転をして頂く必要があります。  


もちろん、バスや電車を乗り継いで空港周辺を回ることもできなくはないですが、本数が少なかったり、満員で乗り切れなかった時のリカバリーが難しいなどリスクが大きいため、大胆にもマイカー持ち込みのツアーを実施できないかという発想に至ったわけです。  


行程ですが、下記のような順番で空港周辺を巡ります。

①    さくらの山公園(集合)

②    十余三東雲の丘

③    東峰神社

④    芝山千代田駅

⑤    ひこうきの丘

⑥    空の駅風和里しばやま(解散)  

①②③⑤については、飛行機の離着陸を見学できる見学スポットです。第10話コスパ抜群の娯楽♪「そうだ 成田空港、行こう!」(後編)で取り上げていますので、詳細はそちらを読んで頂ければと思います。


芝山鉄道線の「芝山千代田駅」。遠くには成田空港第1ターミナルやA滑走路を、目の前に空港南側の整備地区を駅のホームから望むことができる。



④の「芝山千代田駅」ですが、駅のホームから整備地区・A滑走路を行き交う飛行機を眺めることができるレアスポットです。また、芝山鉄道は空港建設の見返りに建設を約束されたという経緯を持つ鉄道でもあり、成田空港とは切っても切れない縁があります。

 

⑥の「空の駅風和里(ふわり)しばやま」は、いわゆる道の駅的なお買い物ができる施設であり、北風運用時には着陸間近の飛行機を大きく見ることができます。また、地元野菜を使用したヘルシーなバイキングが人気の「レストランFUWARI」も併設しています。さらに2013年まで成田空港第2ターミナルで運用されていた黄色い電車*「シャトルシステム」が保存されており、外観のみですが見学が可能です。 *厳密には水平エレベーターの扱いで、電車ではない。


空の駅風和里しばやまに展示されているシャトルシステムの車両。1992年から2013年まで、成田空港第2ターミナルの本館とサテライトを結ぶ役割を果たしていた。


そんな成田空港周辺の魅力あふれるスポットごとにガイディングをさせて頂き、各スポット間の移動はお客様のマイカーでして頂くというものです。ガイドは別の車に乗って移動するイメージです。本当は移動中もご案内が出来ればベストですが、車またぎでガイドの声を安定して伝える方法が見つからないことと、移動中にご案内する内容もそこまで多くないため、各スポットのみのご案内と割り切ることにしました。


各スポット間の移動についてですが、当初はガイドが運転する車を先導車とし、一緒に移動するイメージで考えていました。しかし、後続車が信号で捕まった場合に間隔があいてしまう点や、近接して走ることで、参加者の車同士・ガイドの車⇔お客様の車間の事故のリスクも生じてしまいます。多少デメリットはありますが、移動は再集合の場所を記した地図などを渡してお客様自身でして頂くことにしました。  


大きな問題となるのが料金設定です。レアスポットゆえにニーズも高いであろうと思われる③東峰神社ですが、駐車スペースが少なく、台数が多いと最悪停めきれない可能性があります。となると、参加できる人数よりも、車の台数を制限する必要が出てきます。理想はお客様の車は2台まで、多くても3台が限界かと思います。既存のツアーはいずれもおひとり様いくらという料金設定になっていますが、このツアーの場合、車1台でおひとり参加というお客様がいるような場合、極端な話1名×3台で3名しか集客ができないと、とても採算が取れないツアーとなってしまいます。


ですので、料金設定を工夫する必要があります。少人数のお客様を敬遠しつつ、割高でも良ければ参加できるという余地を残す前提で、おひとり様3,900円、最低お申込み人数を4名様(15,600円)以上とすることにしました。この場合、1名や2名でも参加が可能ですが、おひとり様当たりのツアー代金はだいぶ割高となります。  


配布物についてですが、イヤホンガイド®(ガイドレシーバー)を使用するのは他のツアーと同じです。小冊子については、ある程度需要が見込めないとこのツアーに特化した小冊子を作るのは難しいので、既存の空港見学者に配布している冊子を使用することとしました。  


あとは、車を使用するツアーならではの注意点として、「有効な免許証を持っている方」などの参加資格、走行距離の目安(約25㎞)に加えて、ガソリン代はお客様負担である旨を記載して、告知ページは完成です。  


こうしてリリースされた前代未聞?の「ドライブツアー」ですが、果たしてどのくらい売れたのでしょうか…。勘の良い読者の方ならお分かりかと思いますが、残念ながらまったく売れませんでした(泣)クラファンのリターンとしてはもちろんのこと、その後一般にも販売してみましたが、箸にも棒にも引っ掛かりませんでした。観光バスを利用する団体向けなら需要があるかもしれないと考え、団体利用のページには引き続き掲載をしていますが、今のところお問い合わせは1件もありません。  


通常なら、このままボツにしてお蔵入りにしまうところなのですが、交通機関が手配できないミキキートスにとって、このドライブツアーが成功すると可能性が無限に広がる為、損切りに踏み切れない状態が続いています。性懲りもなく、いつかリベンジしてみたいと考えています。


現在はツアーの立ち寄り先に入っていない航空科学博物館。リベンジの際のカギになるかもしれない。


ちなみに、成田空港・国会議事堂・豊洲市場(大田市場)以外の新しいジャンルも開拓してみようということで、過去には浅草や秋葉原の街歩きツアーを企画し、販売を試みたこともありました。しかし、どちらもびっくりするくらい売れず…。浅草のツアーは4名様、秋葉原のツアーに至ってはゼロという悲惨な結果にとどまっており、ミキキートスにとってはいわゆる黒歴史となっています。街歩きツアーでは成功を収めることが出来ておらず、結果として社会科見学要素の強い現在のツアーが残ったという経緯があります。空港・国会・市場ときて、次は何でしょうか?小さなツアー事業者の儚くも楽しい挑戦は続きます。




"外から"成田空港見学ツアー 空港一周ドライブ&ガイドツアー

https://book.mikikiitos.com/products/372edcc0-dea5-5826-9c74-d066fdb2760c

※今回ご紹介したツアーです。グループ・団体の貸切利用でしたらご対応可能です。


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ミキキートス庭野大地
庭野 大地

EventOffice ミキキートス代表。
中央大学卒業後、観光とは異業界での勤務経験を経て、旅行会社で国内外の添乗員・ガイド業務に従事。
2015年からは、主催のミキキートスにてイヤホンガイドを使用した参加型ツアー事業を開始。「大人も楽しめる社会科見学」「親子でまなぶ」をコンセプトに、築地/豊洲市場、成田空港や国会議事堂見学をはじめとした多数の人気ツアーを企画。
「名物ガイド」として多くのメディアで注目を集める。
コロナ禍では事業に大打撃を受けるが、オンラインツアーコンテンツに参入し、難局を乗り越える。
アフターコロナでは「社会科見学をエンタメに!」をスローガンに掲げ、新しいツアー企画に挑戦するなど、多忙な日々を過ごす。


WEBサイト:https://www.mikikiitos.com/


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