2023-10-13

第1話 ガイドはつらいよ 夏の日の2023 (前編)

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2023年9月某日20時30分、お問合せ頂いていた豊洲市場見学ツアーの見積書を作成し終わってメールで送信した。今朝は6時過ぎから稼働していて、豊洲市場のご案内を一本済ませたあと、事務所で明日のツアーの準備をしてから帰宅。溜まってしまっていたメールの返信に追われ、スタッフの給料の計算をして…あまりの睡魔に1時間ほど夕方に"昼寝"をして今に至る。  


「コラム引き受けなければよかったかなぁ…」 コラムの依頼主に怒られそうだけど、一瞬そんな気持ちになる。しかし、ツアー企画も含めて何か物を創作するのが好きな性質なので、これはこれで良い息抜きになる…かも? ご迷惑をおかけしないように、とりあえずスケジュールだけは遵守しないと。  


1週間を頑張って乗り切るモチベーションだった『日曜劇場VIVANT』も終わってしまい、某YouTuberのゲーム実況動画を見ながら食べる夕飯以外は、いつも仕事のことばっかり考えている始末。「果たしてこのままでいいのだろうか?」と思うことがよくある。しかし、2023年の始めを思い返してみると、今住んでいる部屋の家賃が払えなくなるかも…と真剣に考えるほど心許ない経営状況だった。もちろん今とて超絶安定というわけではないけれど、今とは比べものにならないくらい不安に駆られる日々を過ごしていた。それに比べたら、自分の好きな仕事で多忙を極めている現状は決して悪くない…自分にそう言い聞かせて日々を過ごしている。 


多くの人がそうであるように、コロナ禍で疲弊して、そこから再起しようともがきながら孤軍奮闘する日々…。今日から始まるコラムの新章は、そんなしがなきツアーガイド兼経営者の日常がテーマです。  


さて、皆さん大変ご無沙汰しております。ミキキートス代表の庭野です。今お読み頂いているコラム「それでも愉快なガイド人生」は、いわばSeason2となります。前回は2021年の8月から2022年の7月にかけて執筆させて頂きました。前回読んで頂いた皆さんも、今回から読んで頂いている皆さんも、本当にありがとうございます。


前作は私がツアーガイドになる前に従事していたツアーコンダクター(添乗員)時代の話が全体の半分程度を占めていました。ガイドになってからの話もコロナ前の物が中心で、どちらかというとミキキートスの歩んできた歴史語りに近いような内容となっていました。ありがたいことに、株式会社ケンネット社長(現株式会社パシフィックネット代表取締役社長)の上田様より再度お声掛けを頂き、続編を執筆させて頂くこととなりました。


Season2は「孤独で愛おしいガイドの日常」と題して、”アフターコロナ”で奮闘する私の日常をいろいろと綴っていければと思います。同業者や旅行業界を志す皆さんの心の支えとなるような読み物となるよう、頑張って執筆してまいりますのでどうぞよろしくお願いいたします。  


さて、今回初めて読んで頂いている方向けに、私の仕事を簡単にご紹介させて頂こうと思います。詳しくは前コラムで記しているので、興味のある方はお時間のある時に読んでみて下さい。(コラムSeason1はこちら)

私は2015年4月に創業した小さなツアー業者「ミキキートス」を営んでおり、自らもツアーガイドとして多くのお客様にご案内をさせて頂いております。豊洲市場(大田市場)、国会議事堂、成田空港といった、社会科見学要素の強いスポットのガイドツアーを取り扱っています。インバウンドは今のところ未対応で、日本人向けのご案内が中心となっています。  


私共のツアーの売りはイヤホンガイド®とオリジナル小冊子の2つ。小冊子の方はイメージが付く方が多いと思いますが、皆さんが想像しているよりもより実用的なものかもしれません。ツアーの途中で実際に読み合わせをしながらご案内をすることで、理解を深めながら楽しく見学をして頂けるように用意しているツールです。


国会議事堂見学ツアー・豊洲市場見学ツアーの冊子


そして、なんといってもイヤホンガイド®です。イヤホンガイド®は株式会社ケンネットが商標を持っている商品名であり、一般名詞としてはガイドレシーバーや音声ガイドと呼ばれる機器です。よく誤解されるのですが、事前に収録された案内音声を再生して聴くような機器ではなく、ガイドが話している内容が、イヤホンを通してリアルタイムでお客様の耳に届くというものです。ミキキートスではご縁あって、2018年末よりケンネット社製のイヤホンガイド®を自社機材として導入させて頂きました。お客様から「ガイドの案内がよく聞こえる」と大変ご好評を頂いております。