2025-01-16
第21話 横着の代償はあまりに痛かった…師走に訪れた悲劇
2024年の11月末、成田空港校外学習プログラムの繁忙期が終わり、ホッと一息ついたタイミングのことです。2024年も残り1か月ということで、一足早く2025年のカレンダーを壁にかけることにしました。カレンダーをかける場所は下の画像を見て頂くと一目瞭然ですが、大きな机を壁に寄せて設置しているので少々面倒なところです。一番確実なのは机自体を動かすことだと思いますが、大きなプリンターも置いているので、かなり大掛かりな作業となってしまいます。机の上にそっと乗って作業をするのが正解だったと思うのですが、それが面倒だった私は、キャスター付きの椅子の上に乗り、作業をしようとしました…。
現場写真。左側に設置している縦型の液晶ディスプレイも、
転倒時に端子部分を壊してしまい、もう少しで使えなくなるところだった。
その先は、皆さんのご想像通りです。キャスター付きの椅子の上で体重を前に傾けたらどうなるでしょうか。椅子は勢いよく後ろに下がり、私は机の上に激しく胸を打ち付けました。悶絶です。10分くらいは床でうずくまっていたでしょうか。声にならない激しい痛みをただただ受け入れるしかありませんでした。幸い腕の骨が折れたりはしなかったので、取り急ぎ生活に支障はなさそうです。応急処置ということで、薬箱に入っていた市販の痛み止め薬を飲み、肩こりや腰痛用に買い置いていた鎮痛作用のある湿布を患部に貼り付けました。翌日はミキキートスの商品の中で最長5時間半の所要時間を誇る成田空港のツアーでしたが、幸い痛み止めと湿布で難なく乗り切ることができました。薬が切れてくると多少痛みますが、患部の色も変わってないし、大ごとにはならないだろうと慢心していました。
胸を強打した翌日、ツアーの途中で撮影した貨物地区の写真。
この日は奇跡的に何事もなくツアーをこなし、写真を撮る余裕もあった。
変化が訪れたのは、事件から2日後12月1日の夕方のこと。夕飯を食べ終わってYouTubeのくだらない動画を見ていて、声を出して笑ったタイミングで患部が激痛に襲われました。それをきっかけに、止まない激痛に見舞われます。痛み止め、湿布に加えて、お風呂に入って体を温めてみたり…できる限りのことはしますが、それまでとは打って変わって悶絶するような痛みが続きます。とりあえず安静にと思い、布団に入ってはみたものの、今度は痛みで起き上がることが出来ません。寝返りを打つことはもちろん、トイレに行く為に体を起こすのにも激痛が走ります。ぎっくり腰をやったことがある人なら分かると思いますが、あの痛みがよりシャープで強い感じだと思って下さい。ベッドの上からトイレにたどり着くまで、休み休み10分くらいかかるような始末です。その日はベッドで寝るのは諦め、部屋の一番トイレに近い場所に布団を敷いて寝ることにしました。
声にならない鈍い痛みが夜中ずっと襲ってきます。痛みに呼応するように変な汗が出るし、骨が痛むので呼吸も苦しく、まさに息も絶え絶えといった状態。よっぽど救急車を呼ぼうかと思いましたが、救急車の貴重なリソースをなるべく消費したくないと考え、とりあえず朝まで我慢することにしました。この時頭をよぎったのは、2日前の強打で肋骨の骨が折れていて、それが肺に刺さっているのではないか?みたいな最悪のものでした。私は病院が嫌いで、可能な限り受診したくないタイプですが、今回ばかりはそんなことは言っていられません。
ただ、症状が症状だけに、適当な病院を受診するというわけにはいきませんので、消防署に電話して医療機関案内をしてもらうことにしました。症状を一通り伝え、受診すべき病院を3つほど紹介して頂きました。ただ、通話の最中にも痛みがとめどなく襲ってきます。消防署の方もそれを察し、「いざという時は迷わず救急車を呼んで下さいね」と声をかけて下さいました。よっぽど119番に電話をしようかと思いましたが、なんとか思いとどまりました。
受診すべき病院は決まりましたが、治療以外にも考えなければいけないことがあります。実は、翌日に成田空港見学ツアーのご案内を承っていました。当日は私1人でご案内をする予定でしたが、この様子だととてもじゃないですがご案内どころではありません。そこで、うちで最古参のガイドであるAさんに助けを求めました。彼女は2019年からミキキートスでガイドとして活躍してくれていて、今ではガイド研修の講師も務めて頂いている方です。ただ、小学生のお子さんを育てながらの就業の為、制約も多く、いつでも働けるというわけではありません。私は駄目元で電話をしてみました。
事の顛末を説明し、引き受けてもらえないか打診をすると、Aさんは二つ返事で引き受けてくれました。もし仮にNGだったとしても、電話口で「イタタタタ…」と何度も口にする私の頼みは、さぞかし断りづらかったことでしょう。Aさんのおかげで、とりあえずお客様に迷惑をかけることだけは避けることができそうで、一安心となりました。