2024-04-26

第13話 クラウドファンディングという儚い夢

2432803_s

2022年の冬、事業の存続が危ぶまれていた話を第12話でさせて頂きましたが、なんとか状況を打破したいと初めて挑戦したものがありました。それはクラウドファンディング(以下クラファン)による資金調達です。以前から興味はありましたし、クラファンを取り扱う業者から営業をかけて頂き、詳しくお話をお伺いしたこともありましたが、なかなか機運が高まらず、チャレンジの機会に恵まれていませんでした。そんなクラファンに満を持して挑戦することになりました。


 クラファンで資金調達するテーマですが、 「イヤホンガイドを増やして 100人同時に受けれる 社会科見学を提供したい!」としました。 ミキキートスでは、「成田空港校外学習プログラム」「豊洲市場修学旅行プログラム」といった、教育旅行系のツアー運営も行っています。一般向け募集ツアーと同様、イヤホンガイド®(ガイドレシーバー)のKR-500を使用するのですが、機材の数が少ないと大人数の学校様のニーズには応えることができません。ガイドの人数はもちろんですが、ガイドレシーバーが足りないことで、受注できなかったことも少なくありません。もちろん上を見ればきりがありませんが、とりあえずひと学年100人規模の学校様に対応することを目標に、資金調達をしようと考えました。


クラファンのアイキャッチ画像(初期のデザイン)



さて、100人規模の学校様を受け入れるのに必要な受信機の機材数は何台でしょうか。当然といえば当然ですが、100台あればいいわけではありません。まず予備が必要ですし、引率の先生方の分も用意する必要があります。また、ガイド自身も自分の声がきちんと届いているかをモニタリングする為に1台ずつ使用しますので、それらを合計して加えるとだいたい120台程度必要な計算となります。当時70台少々しか受信機の持ち合わせがありませんでしたので、受信機約50台を調達目標としました。そのうえでクラファン業者に支払う手数料やリターンの費用負担なども考慮し、クラファンの目標金額は150万円となりました。容易でないことは分かっていますが、せめて50万円でも70万円でも手に入れて、少しでも受け入れ人数を増やしたい…そんな意気込みでした。


リターンには個人向けのツアー商品への参加権や、団体利用、校外学習・修学旅行プログラムを安く利用できる権利、普段は実施していない特別ツアー、小冊子への広告掲載権などを用意しました。1月末から3月にかけての実施ということで、年度が変わる直前のタイミングということもあり、学校様に直接支援して頂くことは難しいかもしれないと思っていましたが、旅行会社様には多かれ少なかれ大口の支援をしてもらえるのではないかと大いに期待をしていました。


クラファン業者からはアドバイスとして、開始前に支援が見込める知り合いや会社に営業をかけておき、確実に支援をしてもらえる状況を作っておくことがとても大事だと言われました。「人は勝ち馬に乗るのが好きだから、過疎っているクラファンの企画には支援が集まりづらい。盛り上がりを演出することで、支援も伸びていく」とのことでした。いわんとしていることはよく理解できるのですが、私はあまり気が進みませんでした。保険の営業が知り合いや友人に気の進まない契約を進めるのと根底に同じものを感じるからです。とはいえ、リターンの内容が直接支援者の利益につながるようなものについてはお取引先様にご案内をさせて頂いたり、SNSなどで発信をするなど、控えめながらも告知をさせて頂きました。


成田空港校外学習プログラムの告知画像。千葉県内の公立小学校の利用が圧倒的に多いが、最近は東京都23区内や埼玉県からの利用も少しずつ増えてきている。



そのような声掛けが功を奏したのか、クラファン開始直後はまとまった支援がありました。思いがけない人からも支援を頂いてしまい、嬉しさよりも申し訳なさが勝ってしまうほどでした。このまま支援が同じペースで伸びていけば、目標達成も夢じゃないと思われましたが、スタートダッシュもむなしく、パタリと支援は止まってしまいました。そう、事前にお声掛けをした人やお取引先様以外の支援は皆無だったのです。


この現実は大いに堪えました。営業を控えめにしたこともあり、宣伝不足である自覚こそありましたが、こんなにも一般受けしないとは思いもしていなかったのです。文面を変えたり、アイキャッチの写真を変えたり…と、小手先のテコ入れをしてみますが、状況は変わりません。挙句の果てに広告を打つことを提案されますが、特殊なリターンであることもあり、広告の効果には懐疑的でした。ましてや、10万円ちょっとしか支援が入っていない状況で、その大半を広告に費やしてしまったら、手元にお金が戻らないどころか、マイナス収支となる恐れすらあります。資金調達をする為に広告を打つという矛盾も受け入れられませんでしたし、その余力もありませんでした。


期間終了後のプロジェクトページ。アイキャッチの画像が差し替えになっているのが分かる。



結局スタートダッシュで支援を頂いたところからほとんど伸びず、知り合いやお取引先様以外の支援はゼロの状態でこの挑戦は幕を閉じました。150万円の目標に対して、達成率わずか8%、12万4,500円という散々な結果に終わりました。自分がみじめなのはもちろんですが、目標達成の一助になればと快く支援してくださった皆さんの期待に応えることができず、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいでした。こうなるのなら、クラファンなんてチャレンジするんじゃなかったと悔やんだほどでした。業者の手数料を差し引いた9万円ほどの資金に少しお金を足して購入できる精一杯の台数の受信機を買い増ししましたが、それが精一杯でした。目標としていた50台には遠く及びませんでした。


支援のおかげで買い増すことができたイヤホンガイド®KR-500の受信機


というわけで、初挑戦のクラファンはほろ苦いどころかハバネロくらい激辛の結果となってしまいましたが、ただただ絶望で終わったのかというとそうではなく、副次的な効果が遅れてやってきました。実は、お取引先や知り合いへの営業に加えて、千葉県内の公立小学校や、教育旅行を取り扱う旅行会社様あてに、クラファンの紹介に添える形で校外学習に関するご案内をDMでお送りしていたのです。お金も手間もかけられないので、メールアドレスやお問い合わせフォームを持っているところ限定でしたが、200-300件近い種まきをしていました。そのDMを見て下さった結果、多くの学校様よりお問い合わせを頂くことになったのです。結果的に2023年度は20校もの成田空港校外学習プログラムを受注することができ、過去一のご利用を頂きました。


そんなこんなで売上も確保できたことから、ガイドレシーバーの買い増しをさらに進めることができ、現在ちょうど100台のところまできました。できれば今年中、遅くとも来年中までには120台まで買い増しを行い、クラファンの目標として掲げていた100名規模の学校様のニーズに対応できるよう、精進してまいりたいと思います。



成田空港校外学習プログラムのご予約はこちらから!

https://www.mikikiitos.com/nrtschool



イヤホンガイドの購入について検討されている方はこちら

https://www.earphone-guide.jp/purchase/

ミキキートス庭野大地
庭野 大地

EventOffice ミキキートス代表。
中央大学卒業後、観光とは異業界での勤務経験を経て、旅行会社で国内外の添乗員・ガイド業務に従事。
2015年からは、主催のミキキートスにてイヤホンガイドを使用した参加型ツアー事業を開始。「大人も楽しめる社会科見学」「親子でまなぶ」をコンセプトに、築地/豊洲市場、成田空港や国会議事堂見学をはじめとした多数の人気ツアーを企画。
「名物ガイド」として多くのメディアで注目を集める。
コロナ禍では事業に大打撃を受けるが、オンラインツアーコンテンツに参入し、難局を乗り越える。
アフターコロナでは「社会科見学をエンタメに!」をスローガンに掲げ、新しいツアー企画に挑戦するなど、多忙な日々を過ごす。


WEBサイト:https://www.mikikiitos.com/


イヤホンガイド導入に関して
お気軽にお問い合わせください