2024-03-29

第11話 降って湧いた引っ越し狂騒曲

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春ですね。何かを始めるのにぴったりの季節ですが、皆さんは何かを新しく始める予定はありますか?突然ですが、私は新居での新生活を始めました。こちらのコラムで「成田空港まで遠い!」「駅まで遠くて大変!」などと散々ぼやき続けてきたわけですが、その話に突如終止符が打たれることになりました。「なんだよ…引っ越しが決まっていたのなら“遠くて大変”みたいなコラム書くなよ!」と思った方もいることでしょう。実はこの引っ越しは降って湧いたものなのです。2月に入るまでは、まさか自分が今春に引っ越しすることになるとは夢にも思っていなかったからです。  


不便なところに住んでいるのなら、さっさと越せば良かったじゃないかと思われるかもしれませんが、一筋縄ではいかない事情がありました。それは審査の問題です。ミキキートスは従業員を雇用していることもあり、一見法人っぽい佇まいに見えますが、現時点では私庭野の個人事業となっています。コロナ前には法人化も視野に入っていたのですが、コロナ禍直撃でそれどころではなくなってしまいました。個人事業主は信用が乏しいと言われています。仮に審査まで進めたとしても、直近はコロナ禍で売り上げが落ち込んでいたこともあり、貸し手にとって客観的な安心材料を提示できない状況でした。そんなこともあり、前妻と離婚する前から住んでいて、1人で暮らすには広すぎる1LDK、駅から遠いわりに家賃が高い川口の旧居に住み続ける選択肢しかないと考えていたのです。恋愛で例えるなら「どうせ振られるに決まっているから告白するのはやめよう…」みたいな感覚でしょうか。


赤いピンが立っているあたりが旧居の場所。大きなイオンモール2つが徒歩圏にあるという大変奇特な環境ではあったものの、3つある最寄り駅(鳩ケ谷・蕨・西川口)まではいずれも徒歩30分コースだった。 引用元:国際興業株式会社公式サイト(https://5931bus.com/files/topics/1006_ext_03_9.pdf)



とはいえ「夢を見るくらいいいだろう」と、年末あたりから不動産会社の賃貸サイトを頻繁に覗くようになりました。もともと賃貸情報を見るのは好きなんです。自分が住む予定がない街の賃貸情報を検索して、面白い間取りの物件を見つけたり、ここに住んだらどのような暮らしになるだろうか?と想像する行為が楽しいのです。キャンピングカーや車の情報も同じで、おそらく買うことはないのですが、「こんな機能が付いていたら快適だろうなぁ…」等と、想像して楽しむことができるのです。お金はかかりませんが、ただただ時間が溶けていくだけの趣味です(笑)



そんな訳で、気まぐれに賃貸情報を探し始めたのですが、今回は将来の引っ越しを見据えて、条件にこだわって検索しました。旧居の反省を踏まえて、とにかく駅近(概ね徒歩5分以内)であることと、成田空港・豊洲市場・国会議事堂のどの現場にも行きやすいところが最低条件です。また、旧居は荒川で大規模な氾濫が起こった際には、最大水深3mにも及ぶ水害のリスクがあったため、今回はそういった水害のリスクもない場所を選ぶことにしました。アクセス面を考慮すると、おのずと北総線、京成本線、新京成線、総武線の沿線が候補となりますが、理想は「新鎌ヶ谷」だなと思っていました。理由は、北総線(成田スカイアクセス線)経由で成田空港まで乗り換えなし40分でアクセスできることと、豊洲市場や国会議事堂へのアクセスに便利な新橋まで45分程度で行けること。それに加えて、3路線が乗り入れており、万が一北総線が止まってしまっても、新京成線や東武野田線(アーバンパークライン)経由で、都心方面にも成田空港方面にも迂回して行けることでした。


新鎌ヶ谷駅に乗り入れる鉄道各社。新京成電鉄は2025年に親会社の京成電鉄に吸収合併されることが発表されており、路線名や電車のカラーがどう変化するのか注目されている。



新鎌ヶ谷以外に東松戸も有力な候補でした。東松戸も水害のリスクが低く、2路線以上使えるという条件を満たしています。ただ、東松戸は買い物がやや不便なのと、駅近には中層階のマンションが林立していて、よほど高層階でないと日当たりが悪そうな印象があり、やはり本命は新鎌ヶ谷でした。指定した条件で気になる物件が見つかってはお気に入りに登録をしますが、次に見た時にはだいたい掲載終了となってしまい、夢が花開いては萎んで…を繰り返していました。   転機が訪れたのは1月下旬のこと。新鎌ヶ谷の駅近で新築物件が新たに掲載されたのです。駅徒歩6分とギリギリ許容範囲、家賃も予算内です。そして、この物件には個人的に初めて目にするギミックがありました。部屋の中にフュージョンという2段ベッドのような構造物が組み込まれているのです。写真を見ると一目瞭然かと思いますが、2段目がベッド用のスペースとなっていて、1段目は掘りごたつのように床が低くなっていて、そこに畳1.5畳ほどのサービススペースがあるのです。私はこの設備にとても興味が湧きました。そこで行動を起こすことにしました。「審査に通らなくてもいい。この”フュージョン” を一目見てみたい」と、半分は冷やかしで内見を申し込むことにしたのです。


新築物件ということもあり、不動産屋を一度訪れて別日で内見ということになりました。ただ、そこはさすがに新築物件。「埋まってしまうといけないので、申し込みだけ先にしておきませんか?」とそそのかされます。審査落ちの可能性が高いと考えていたので、若干の後ろめたさを感じつつ、軽い気持ちで申し込みを済ませます。ただ、奇跡的に審査が通ったら、その時は引っ越しをしようと考えていました。そしていよいよ内見の日。これまで内見したことがない新築の物件で、フュージョンとのご対面です。なんと言ったらいいでしょうか。秘密基地?寝台列車の2段ベッド?のような設備に胸は躍りました。1段目は仕事のスペースにしてもいいし、趣味のスペースにしてもいい…夢は膨らむばかりです。帰り際に入居希望日を尋ねられたので、一応希望を伝えて帰途に就きました。なんだかんだで結局審査落ちという悲観的なオチしか見えていなかったので、真新しい賃貸物件と設備を「社会科見学」をさせてもらったくらいの気持ちでした。