2024-02-16

第9話 コスパ抜群の娯楽♪「そうだ 成田空港、行こう!」(前編)

画像1111

暦の上では立春を過ぎ、春の足音が聞こえてくる季節となりました。春になるとお出かけをしたくなりますが、物価高で何をするにもお金がかかる昨今。「お金がかからなくて楽しめる娯楽はないのか?」と思ったそこのあなたには、飛行機の見学をおススメします。交通費や駐車場代はかかりますが、飛行機の離着陸を眺める行為自体は基本無料です。大きな飛行機が飛び立ったり、着陸したりする光景は迫力満点で、飛行機にそれほど興味がない人でもついついスマホで写真や動画を撮りたくなってしまうものです。今回はそんな飛行機の見学に役立つお話をさせて頂きます。


日本で一番沢山飛行機を見られる空港は、いわずもがな日本一の利用者数を誇る羽田空港です。旅客機がひっきりなしに発着する様は圧巻ですが、国内線中心の為、JALやANAが圧倒的多数を占めます。他方、数ではなく沢山の種類の飛行機を見られる空港は、国際線発着数が日本一で、海外エアラインの飛行機が多く発着する成田空港となります。つまり、飛行機を眺めるなら成田空港が断然おススメなんです♪ 


さて、飛行機の離着陸を眺めるには、空港ターミナルの展望デッキか空港周辺の見学スポットのいずれかとなります。まずは成田空港にある展望デッキの事情からお話ししましょう。羽田空港は第1、第2、第3それぞれのターミナルに展望デッキがあり、いずれも滑走路が目の前にあるので、とりあえずデッキに出れば飛行機の離着陸が眺められるので分かりやすいのですが、成田空港は事情が違います。  


★展望デッキがない第3ターミナル

まず、LCC専用の第3ターミナルには展望デッキがありません。これは、LCC専用ターミナルが存在する理由と関係があります。航空会社は空港に発着するにあたり、空港に使用料を支払います。設備の立派な従来のターミナルは、利用者にとっては居心地が良いですが、使用料は当然高くなる為、格安で乗れることが売りのLCC会社にはその使用料の負担が重くなります。そこで、建設費を抑えた質素な造りの建物を用意し、使用料の負担を減らすことで、LCC各社に少しでも多く発着してもらおうという趣旨の物がLCC専用ターミナルになります。つまり建設や維持管理にお金をかけられないので、飛行機の乗降に必要がなく、娯楽要素の強い展望デッキは真っ先に外されるという訳です。


第3ターミナルの様子。建設費とランニングコストを抑える為にシンプルな設計となっており、第1・第2ターミナルと雰囲気が大きく異なる。



★実は第2ターミナルにも“展望デッキ”はない

「それじゃあ、第1、第2の各ターミナルには展望デッキがあるということか…」と思ったかもしれませんが、もうひとひねりあるのが成田空港です。第2ターミナルには飛行機を眺めることが出来る南北2つの屋外デッキがありますが、その呼称はいずれも展望デッキではなく「見学デッキ」とやや控えめなものになっています。その理由ですが、デッキがある第2ターミナルの本館は滑走路に隣接しておらず、目の前で飛行機が滑走路を離着陸する様子を見ることができないからではないかと思います。第2ターミナルは本館に並行するような形で細長いサテライトが設けられています。加えて、反対運動の絡みで、空港予定地が私有地のまま残っているところが点在している為、滑走路をターミナルの前まで伸ばすことが出来なかったという経緯があります。この2つの理由から、第2ターミナルの各見学デッキからは、飛行機の離着陸を真横から眺めることが出来ないのです。ただ、見学デッキ(北)からは、遠方ではありますがB滑走路を望むことができます。特に北風運用の日には、滑走路に着陸する飛行機が比較的低いところを飛ぶので、それなりに飛行機の着陸を楽しむことが出来ます。


第2ターミナルの見学デッキ(北)からB滑走路を眺めた様子。真横からではなく、左後方からの見学となる。


★メインの滑走路を望む第1ターミナルの展望デッキ

成田空港で唯一「展望デッキ」を名乗る屋外デッキがあるのは第1ターミナルです。本館5階にあるのですが、こちらは文句なしの滑走路ビューのデッキです。長短2つあるうちの長い方、つまりメインの滑走路であるA滑走路を離着陸する飛行機を堪能することが出来ます。世界最大の旅客機エアバスA380はA滑走路限定となるので、同機を使用するANAのフライングホヌの離着陸もこちらのデッキから眺めることができます。見学で訪れる人が多いこともあってか、デッキから建物に入ってすぐのところに、航空グッズを扱う「バイプレーン」というお店があります。空港の南側にある航空科学博物館直営の店舗で、キーホルダーのように気軽に買えるものから、ガチの航空ファンをうならせるような本格的なグッズまでいろいろ取り扱いがあるので、お好きな方は是非チェックしてみて下さい。というわけで、成田空港のターミナルから飛行機の離着陸を拝むなら、第1ターミナルの展望デッキがベストです。


第1ターミナル展望デッキからの眺め。西側を向いているので夕陽も拝める。


★向かい風?追い風?どっち??

さて、突然ですがここで問題です。飛行機が空港を離着陸する時に、飛行機は原則 A.向かい風 B.追い風 どちらの向きに滑走路を走るでしょうか。   正解はAの向かい風となります。意外に思った方が多いかもしれませんね。飛行機は上空を飛んでいる時には、基本的に追い風で飛びます。その方が燃料も節約できますし、早く目的地に着くことが出来ますのでいいことずくめです。ではなぜ空港を離着陸する時には向かい風なのでしょうか。


★飛行機が離陸するメカニズム

飛行機の重たい機体を空に浮かべる力の事を「揚力(ようりょく)」と言います。その揚力を発生させるのは、飛行機の胴体の真ん中から左右に伸びている大きな翼=主翼の部分です。メカニズムを超簡単に説明すると、特殊な形をした主翼に前から沢山風を受けることで揚力が発生します。大きさにもよりますが、一般的なジェット旅客機は、静止した状態から滑走路を加速し、300km/hほどに達したところで離陸に必要な揚力が発生します。つまり、速く走ることで、前から沢山の風を主翼に浴びる環境を作っているわけですね。ここまでお話しすると、向かい風と追い風のどちらが都合良いかが分かってくると思います。向かい風であれば、静止した状態でも翼にはすでに前から風が当たっていることになるので、離陸するには有利になるわけです。たとえば、30km/h(秒速8.3m)の向かい風が吹いている場合には、270km/hまで加速すれば、270+30で300km/hの風を受けているのと同じになります。逆に30km/hの追い風が吹いている場合、滑走路を300km/hまで加速しても300-30となり、差し引き270km/hしか翼に風を受けることができません。離陸する為には330km/hまで加速する必要があり、より長く滑走路を走ることになります。離陸に適しているのが向かい風であるということがなんとなくご理解頂けたかと思います。また、着陸する場合も短い滑走路で速度を落とす為には、向かい風の方が都合良いですね。なお、きちんと説明しようとすると「ベルヌーイの定理」という言葉を持ち出す必要があるのですが、私は文系の人間でちんぷんかんぷんでボロが出そうなので、ここまでにしておきたいと思います(笑)


北風運用・南風運用のイメージ


ちなみに北風の日に北に向かって離着陸することを「北風運用」、南風の日に南に向かって離着陸することを「南風運用」といいます。このルールを知っておくと、飛行機の離着陸を見学する時にとても役に立ちます。 後編では、「北風運用」「南風運用」を踏まえた空港周辺の飛行機見学スポットのご紹介をさせて頂くのでお楽しみに♪


(後編に続く)


ミキキートス庭野大地
庭野 大地

EventOffice ミキキートス代表。
中央大学卒業後、観光とは異業界での勤務経験を経て、旅行会社で国内外の添乗員・ガイド業務に従事。
2015年からは、主催のミキキートスにてイヤホンガイドを使用した参加型ツアー事業を開始。「大人も楽しめる社会科見学」「親子でまなぶ」をコンセプトに、築地/豊洲市場、成田空港や国会議事堂見学をはじめとした多数の人気ツアーを企画。
「名物ガイド」として多くのメディアで注目を集める。
コロナ禍では事業に大打撃を受けるが、オンラインツアーコンテンツに参入し、難局を乗り越える。
アフターコロナでは「社会科見学をエンタメに!」をスローガンに掲げ、新しいツアー企画に挑戦するなど、多忙な日々を過ごす。


WEBサイト:https://www.mikikiitos.com/


イヤホンガイド導入に関して
お気軽にお問い合わせください