2023-12-26

第6話  2024年の一番マグロはいくら?!マグロにまつわるエトセトラ

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気温が高い日が続き、感覚が麻痺していますが、いよいよ新年の足音が聞こえてくる時期となりました。 「そろそろ年賀状買わないと」「今年から年末ののぞみは全席指定席らしいよ!」「あの得意先回るの面倒だな…」などなど、頭を悩ませることが多いものの、新年の訪れを楽しみにしている人が多いのではないでしょうか。  


そんな新年の風物詩として、近年すっかりおなじみになったマグロの初セリ。高額で競り落とされた立派なマグロがテレビの画面に幾度となく映し出されるので、思わずお寿司屋さんに足を運んでしまったという人も多いのではないでしょうか。今回はそんなマグロの新年初セリについて書いてみたいと思います。これを読めば、初セリのニュースがより身近に感じられるかもしれませんよ。


豊洲市場 7街区水産卸売場棟にあるクロマグロの巨大オブジェ


さて、新年の初セリ、すなわち市場で取り引きが行われる最初の日は、毎年同じ1月5日と決まっています。一部例外はあるかもしれませんが、基本的に日本全国の市場が毎年1月5日を新年最初の営業日にしていることもあり、「魚河岸初競り」の日として記念日にも制定されています(1970年/S.45年 日本魚河岸組合制定)。 ちなみに豊洲市場は原則毎週水・日祝がお休みとなりますが、1月5日は曜日にかかわらず営業日となります。


新年の初セリで一番高い金額が付くマグロのことを一番マグロと言います。皆さんがニュースやワイドショーで目にするのはこの一番マグロです。ここは勘違いしがちなところなのですが、一番マグロはキロ単価が一番高いもののことを言います。数千万円から億超えのマンションもびっくりの値段につい目が行ってしまいますが、こちらはキロ単価×重量(総キロ数)で算出された総額となり、必ずしもこの金額が高いものが一番マグロになるとは限りません。また、結果として一番マグロになるのであり、先に「このマグロが今年の一番マグロですよ!」と宣告されたものを高く競るわけではありません。もっとも競り落とす側もプロですから、自ずと価値の高いマグロに着目します。その結果、お目当てのマグロが被り、セリがヒートアップし高額の取り引きとなるのです。


ついマグロばかりに目が行きがちですが、そもそも新年の初セリは市場全体がご祝儀相場となります。たとえば2023年大田市場の初セリでは、山形県産のさくらんぼ「佐藤錦」500gが史上最高値の130万円で競り落とされました。もちろん、マグロやさくらんぼは極端な例ですが、1月5日は市場全体がご祝儀相場に包まれる日となります。新年を無事に迎えられた喜びと、よい1年となるようにという思いが込められて、市場のあちこちで景気の良い取り引きが行われるという訳です。