2023-10-31
第2話 ガイドはつらいよ 夏の日の2023 (後編)
コロナの扱いが5類となって迎える初めての繁忙期である2023年の夏休み期間。コロナ禍で失われた損失を一気に取り戻すべく、私は次のような計画を立てました。
夏休み期間中は学校団体の動きがないのは勿論のこと、一般団体も動きが鈍いという傾向があります。暑い上に高いシーズン料金となることも多く、あまり団体での観光に適していないからでしょう。しかし、個人旅行の場合は別です。お盆休みはもちろんのこと、学校が休みの期間中、旅行需要が大変旺盛になります。そこで、個人のお客様にスポットを当てることにしました。7月21日~8月31日、東京都の小学校で一番多く採用されている夏休み期間です。この期間中、一般の方向けの募集ツアーを大幅拡充することにしました。
普段は月200名少々というのが募集ツアーの参加人数です。残念ながら満員になるツアーばかりではないので、実際には月150名前後といったところです。今夏は夏休み期間の約40日間でおよそ500名分ものツアーを設定したと言えば、その規模が分かるでしょうか?そして、蓋を開けてみると、ありがたいことに472名ものご参加を頂いたのでした。お盆に関東直撃と目されていた台風7号が大きく逸れて、ツアーの催行中止を免れたのも救いでした。
豊洲市場見学ツアーご案内中の様子
それに加えて、団体利用も6本催行、195名様ものご利用を頂きました。募集ツアーと合わせると期間中の参加人数の合計は667名にも上りました。ツアーの本数としては42本になりますが、そのすべてにおいて私もガイドとしてご案内させて頂きました。もちろん、人数が多いツアーはスポットガイドの皆さんにお手伝いを頂いたものもありましたが、いずれも私がチーフガイドを務めました。普段からツアーを行っている土曜日・日曜日に加え、金曜日・月曜日にもツアーを設定した上に、新人ガイドの研修が週2であったため、実質週6での稼働となりました。残りの1日は休めるのか?と問われたら…もちろんNOです。溜まっていたメールを返信したり、見積書を作ったり、翌月のツアーの実施日を考えたり…業務がどこまでも追いかけてきます。
私は無理が利かないタイプの人間です。ですから、本当だったらこんな過酷なスケジュールはまっぴらごめんなのですが、これまでの損失を取り戻すべく、なんとかなるだろうと奮起してツアーを設定しました。しかし、結果としてやり過ぎた感があり、あわやノイローゼか…というくらいまで追い込まれてしまいました。身体を大切にしないとと自分でも思ったほどです。
夏休み期間中といえども、ご利用が多いのはやはり土曜日・日曜日となるので、集中してツアーを設定することになります。催行数が2本/日というのは普段から良くあるパターンですが、需要がある日はツアー3本/日ということもあります。この禁断設定は7月で2日、8月も3日と合計5日ありました。1日2本だとそこまで負担も大きくないのですが、1日3本ともなると過酷です。1つ1つのツアーは2時間ほどなので、3本稼働しても6時間くらいのだろうと思われるかもしれませんが、前後に準備・片付けがありますので、稼働時間は10時間近くになります。また、土曜にはマグロのセリ見学ツアーがあるので、早朝からの稼働となります。さらに言えば、酷暑で普段よりも体力を消耗しやすい季節です。熱中症にも気を付けなければなりません。
熱中症対策としては、首掛けの扇風機を活用しました。とはいっても、普通に風を送るだけの扇風機では正直限界あります。そこで、Amazonで見つけた、首元を冷却プレートで冷やすタイプのものを今夏より導入してみました。効果は絶大でした。この扇風機を作動させていたおかげもあり、いわゆる熱中症の心配は皆無でした。首の後ろ側に冷却プレートがついていて、それが首を通っている血管を冷やすような感じで、清涼感を感じることができます。また、前方顔寄りにファンがあると、ガイドレシーバーのマイクが羽音を拾ってしまうので具合が悪いのですが、こちらの機種はファンが首の後方についているので、その心配も皆無でした。欲を言えば、バッテリーの持ちがもう少し長いと良いのですが、一番弱い送風で2時間半くらい持ちますので、1つのツアーはなんとか乗り切ることができます。モバイルバッテリーからも充電できるタイプではありますが、短いインターバルでは充電が間に合わないので、2台買って使い回すことにしました。