2023-11-10

第3話 現地ツアー復活!初挑戦の親子向けツアーの成否やいかに?

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さて、時計の針を2022年の夏に戻しましょう。新型コロナウィルス感染拡大の影響を踏まえ、2020年の2月を最後に現地ツアーの催行は原則中止とし、オンラインツアーのみの対応としていました。しかし、2年もの時を経て、世間ではマスクをしっかりと着用し、アルコール消毒を行えばツアーを実施しても良いという空気に徐々に変わってきていました。そこで2022年の7月末より、現地ツアーを再開することにしました。  


現地ツアー再開第1弾は、大胆にも新企画のツアーとすることにしました。その名も 「親子でまなぶ 成田空港見学ツアー はじめての空港入門」です。 コロナ前のミキキートスでは、いわゆる大人の社会科見学的なツアーのみのラインナップで、お子様連れのニーズを十分に拾えておらず、いわばミキキートスの大きな弱点でした。しかし、コロナ禍に実施したオンラインツアーのコンテンツの一つとして、親子向けの成田空港ツアーを実施してみたところ大きな反響があり、「これはいける!」と漠然とした手ごたえもありました。そもそもミキキートスでは、主に千葉県内の小学校様向けに成田空港校外学習プログラムを実施してきたノウハウもありましたので、それを応用してツアーを創ることになりました。そして、このツアーには、2022年春から研修を受けていて、デビューの機会がまだなかった新しいガイドさんにお仕事を提供するという裏テーマもありました。そんなこともあり、新企画に加えて新しいガイドが実施するツアーとなり、まさにミキキートスの新時代の到来を感じさせるものでした。


成田空港校外学習プログラムの様子

ツアーを企画する時にはいろいろと考えなければいけないことがあります。皆さんが想像している以上に「あーでもない、こーでもない…」と、色々と思考を巡らせたうえでツアーの企画を練ります。  


まずはテーマに沿って、何を見せるかを考えます。今回は親子企画、主役は小学校高学年の子供達です。お勉強要素ばかりだと興味を持ってもらえませんし、語弊はありますが、子供に媚びをうるようなネタに全振りすると、文字通り子供だましのツアーになってしまい、同行する大人も楽しむことが出来ません。そのバランスをどう取るのかが大変重要です。たとえば成田空港には「礼拝室」というお部屋があります。この施設は主にイスラム教を信仰する旅行者がお祈りを捧げる為に設置されたものなのですが、このお部屋を紹介することは「世界にはいろんな国や宗教がある…」と、異国文化への理解促進や世界とつながる国際空港を実感して頂くのにとても重要な意味を持ちます。素材としてはちょっと難しいテーマなのですが、子供達が興味を持って学ぶきっかけになるような、そういう絶妙なさじ加減でご案内するトピックを決めていきます。


第1ターミナルにある礼拝室

次に、所要時間です。大人だけなら制約は少ないですが、子供がメインとなると、長時間引っ張り回すわけにはいきません。理想的には60分~90分程度となりますが、その時間内で収めようとするとどうしても内容が薄くなってしまいます。ここはギリギリ許容範囲ということで、途中約10分の休憩を挟んで120分の所要時間としました。本当はあと15分延ばしたい気持ちがあるのですが、子供が主役のツアーということで、思いとどまっています。  


更にこのツアーには、目玉ともいえる1つの大きな要素があります。ツアーの後半に展望デッキに出るのですが、世界最大の旅客機エアバスA380で運航されるANAのフライングホヌ(空飛ぶウミガメ) が着陸する様子が見られることを謳ったツアーなのです。もちろん、大幅な遅延や運休の場合にはその限りではありませんが、原則必ず見せないといけない、いわば大きな制約が課せられたツアーとなります。NH183便というのが当該便なのですが、定刻よりも30-40分ほど早く到着することが常態化しています。一方で、定刻や少し遅れての到着となる日もあります。成田空港に近づくまで、いつ着陸するかが読めないのです。すなわち、いつ頃着陸しそうかを常にチェックしながらご案内を進めなければなりませんし、場合によってはご案内の順番を変えて対応することも必要になります。そんな様々な要素を組み合わせ、事情を考慮して、ようやくツアーが形となります。


最後は値付けですが、親子参加なのであまり高い料金設定はできません。諸々考慮した結果、大人・子供同額の2,500円/人に設定しました。音声ガイド(イヤホンガイド)と16Pカラー刷りのワークシート(小冊子)が料金に含まれていることを考えると正直安過ぎるくらいではありますが、気軽に参加してもらいたいという思いからギリギリの価格設定としました。